鬼子母神の子守唄 直子

監督インタビュー地域密着型映画とは?

取材・文:吉田康平 写真:チームせやよな!

『鬼子母神の子守唄 直子』は前作の後日談

Q:『鬼子母神の子守唄』は大人気のシリーズで、1作目『鬼子母神の子守唄』、2作目『鬼子母神の子守唄 愛梨』、今回で3作目になりますが、どのような内容の作品なのですか?

八十川 勝監督(以下、八十川監督):シリーズ1作目の主人公、犬神直子は中学生だったのですが、今回は彼女が大人なった後のストーリーで、1作目の後日談となります。

DVDはこちら前作はこちら

ホラーではなくダークファンタジー

Q:3作もシリーズを制作されているということは、監督のホラー映画への愛がシリーズ化を成功させているんじゃないでしょうか。

八十川監督:実は、僕自身ホラーはあまり好きじゃないんです(笑)。というのも、1作目の前に『ゾンビチャイルド』というホラーを作っていて、当時このジャンルがブームだったこともあり、結構評判が良かったんです。また、1作目は夢原まひろさんの出演で、結果的に彼女のファンにも喜んでいただけたということもありました。でも元々はホラーが好きで撮っていたわけではなかったんです。

Q:それは意外ですね。では、監督にとって『鬼子母神の子守唄 直子』はどのような作品なのでしょうか?

八十川監督:僕はこの作品をホラーではなく、ダークファンタジーだと捉えているんです。

心情を丁寧に綴る物語

Q:ホラーがあまりお好きではないとのことでしたが、監督はどのような作品がお好きなのですか?

八十川監督:そもそも僕は、岩井俊二監督の『Love Letter』『四月物語』『花とアリス』のような、人間の心情を丁寧に綴った物語が好きなんです。だから、『鬼子母神の子守唄 直子』でも怖さを極限まで高めて怖がらせるのではなく、役柄の心情を表現したかったんです。今回も直子の若い頃の回想シーンがあるのですが、そこが撮っていてなかなか楽しかったです。

描きたかったのは「秘密を持った女性の生き様」

Q:それでは、どのような経緯で本作を撮影しはじめたのですか?

八十川監督:まず、僕の構想に、犯罪歴のある女性を描くというものがあったんです。秘密を持ちながらも生きていくのはどういうことなのだろうかと。そんな時、たまたまホラーを撮ることになったので、それを表現しようと決めたのです。直子という、秘密を持った女性の生き様を通して。

垂水映画とは?

Q:垂水映画と銘打っていますが、それはどういうものですか?

八十川監督:「垂水映画」として作品を発信することで、ロケ地などもご紹介していただくなどの垂水市からの支援を受けられ、地域の協力を得やすいという効果がありました。予算のない中での映画制作にあたって、人の協力を得ることは欠かせません。これからも「垂水映画」として作品を発信し続けていきたいですね。
(写真:明石海峡大橋

1512

Q:具体的にどのロケ地で撮影しましたか?

八十川監督:明石海峡大橋、飲食店、地下通路や公園など、神戸に住んでいる地元の人たちが知っているような場所でロケをしています。他の映画でも垂水の海岸などを使いました。(写真:イコイニ(1512)cafe)

地域密着型映画という新しい形の映画発信

sigemori

Q:地域密着型アイドル、ゆるキャラ、ご当地ヒーロー、地域密着型なんとかなど、地域密着というスタイルがブームのように感じますが、映画で地域密着制作することは、どのようなメリットがあると思いますか?

八十川監督:先ほど言った垂水市からの協力もそうですけど、今となっては首都圏に行かなくても映画は撮れるんです。俳優やアイドルはそれこそ全国にいますから。それに地元で制作すれば、地元の方にも喜んでいただけますからね。どこに住んでいても日本や世界に作品を発信できるんです。これは学校でWeb製作を教えている立場もあって、より実感できたことかもしれません。(写真:揚匠しげ盛

その他ロケ地など

NPO法人ぴーす
笑花堂鍼灸マッサージ院
鷲尾皮膚科

八十川 勝

yasokawa

愛知県生まれ、甲南大学 理学部卒。映像プロダクションに勤務した後、2004年より映画監督として活動。

zombie

2002年、OSAKA映像フェスティバルにて上映された大阪的娯楽活劇『MyDo!~まいど~』(DVD発売2006年)でCGを担当。
2007年 、子供主演のファンタジー映画『チョチン?ル~デルVol1』(第10回インディーズムービーフェスティバル 準入選)。

kishibojin

2008年 子供主演のファンタジー映画『キャンディーズ』(神戸市垂水区助成作品)。同年、ホラー作品『きのうのできごと』(EIZO FES Part9にて上映)。
2009年、ホラー映画『ゾンビチャイルド』を製作。
2011年 3月、『ふえがきこえる』(EIZO FES Part14にて上映)

kishibojin

2012年 ホラー映画『鬼子母神の子守唄』(監督・脚本・撮影・編集)を製作。 2013年DVD化となった。
2013年、中学生の男の子と女の子の青春を描いた長編映画『ひよこカラー』を製作(劇場公開)。

<主なコンテスト 受賞作品>

2007年、第10回インディーズムービーフェスティバル 準入選。
2011年、神戸夜景のショートムービーコンテスト 入選。
同年8月、OSAKA LOVERS CMコンテスト 大賞を受賞。
同年10月、あおもりムービーコンテスト2011・R 入賞・エムコン賞受賞。
第3回「タバコは健康を損なう:動画CMコンテスト」3位入賞。
同年12月、「さばえCM大賞2011(福井県鯖江市)」 選考委員会賞受賞。
2013年、宍粟市知名度アップCMコンテスト 優秀賞受賞。
同年6月、ラブドリ・恋愛クリエイター大賞 審査員特別賞受賞。 他多数